健康診断や人間ドックで「胃の検査」といえば、胃カメラかバリウム検査のどちらかを選ぶことが多いですよね。
どちらを選ぶべきか迷う方のために、今回は両者の違いをわかりやすくまとめ、さらに胃カメラのタイミングでできるピロリ菌の検査・除菌についても解説します。
🔍 胃カメラとバリウム検査の違い
項目 | 胃カメラ(内視鏡検査) | バリウム検査(胃透視) |
---|---|---|
検査方法 | 口または鼻から細いカメラを入れて胃の中を直接観察 | バリウムを飲んでX線撮影 |
検査でわかること | 胃の粘膜を直接見て、炎症・潰瘍・ポリープ・早期がんを発見 | 胃の形の変化をX線で確認。大きな病変を見つけやすい |
精度 | 非常に高い(微細な病変も発見しやすい) | 初期がんなどは見落としの可能性あり |
組織検査(生検) | その場で可能 | 不可(疑いがあれば胃カメラを追加) |
苦痛・負担 | 喉の違和感や吐き気あり(鼻からだと軽減) 鎮静剤でほぼ無痛にできる | バリウムを飲む不快感あり、検査後に下剤が必要 |
検査時間 | 約5〜15分 | 約10〜20分 |
放射線被曝 | なし | あり(少量だが蓄積する) |
費用(3割負担) | 約3,000〜6,000円(生検ありは追加) | 約3,000〜5,000円 |
主な利用目的 | 詳細な診断・症状がある人の精密検査 | 健康診断やドックでのスクリーニング |
✅ どちらが向いているか
- 胃カメラ向き
- 胃もたれ・胸やけ・痛みなどの症状がある
- 過去に胃潰瘍やポリープの経験がある
- 胃がん家系、またはピロリ菌陽性
- 正確に調べたい人
- バリウム向き
- 健康診断として手軽にチェックしたい
- 胃カメラに抵抗がある
- 大きな異常がないかをざっくり確認したい
最近では、健康診断でも「バリウム」から「胃カメラ」に切り替える人が増えています。
特に40代以降では、精度の高い胃カメラを選ぶ人が多数派です。
🩺 胃カメラを楽に受けるコツ
鼻から?口から?
- 鼻から(経鼻):吐き気が少なく楽。画質はやや劣ることも
- 口から(経口):画質が良く精密。鎮静剤を使えばほぼ無痛
鎮静剤を使うと快適
眠っている間に検査が終わるので、「気づいたら終わっていた」という人が多いです。
ただし当日は車の運転ができません。
🦠 ピロリ菌の検査と除菌
胃カメラのタイミングでぜひ一緒に検査したいのがピロリ菌です。
胃の中にすみつく細菌で、放置すると胃潰瘍や胃がんの原因になります。
🔍 ピロリ菌の検査方法
方法 | 特徴 |
---|---|
内視鏡+生検 | 胃カメラ中に粘膜を採取。精度が高い |
尿素呼気試験 | 呼気で菌の活動をチェック。除菌後の確認にも最適 |
血液検査 | 抗体を調べる。過去感染でも陽性になることがある |
便中抗原検査 | 便を提出するだけで精度も良い |
胃カメラ中に生検で確認できるのが、最もスムーズです。
💊 除菌治療の流れ
- ピロリ菌「陽性」判定
- 1次除菌(7日間服薬)
抗生物質2種類+胃酸を抑える薬を服用 - 4〜8週後に除菌成功の確認検査
- 失敗した場合は2次除菌(別の薬で7日間)
💰 費用と成功率
- 保険適用あり(胃カメラで感染確認済みの場合)
- 自己負担:約5,000〜7,000円
- 成功率:約90〜95%(2次除菌まで含め)
⚠️ 注意点
- 7日間、飲み忘れないことが最重要
- 下痢・発疹などの副作用がまれにある
- 除菌後も胃の粘膜が萎縮している人は、定期的に胃カメラを続けることが大切
🌿 除菌後の変化と効果
- 胃もたれや違和感が軽減することが多い
- 胃がんリスクは約3分の1〜10分の1まで低下
- 再感染は日本ではほとんど起こらない(主に子ども期に感染)
📝 まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
胃カメラ | 精度が高く、病変を直接確認できる |
バリウム | 健診向き。大まかなチェックに最適 |
ピロリ菌検査 | 胃カメラ時に同時検査が効率的 |
除菌治療 | 1週間の服薬で成功率90%以上 |
除菌後 | 胃がんリスクを大幅に減らせる |
💡 まとめの一言
健診で終わらせず、「胃カメラ+ピロリ菌チェック」で将来のリスクを減らすのが賢い選択です。
一度の検査で、安心が何年も続きます。
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